Home > 雑記帳 > [ドラム]むやみにクリックに合わせる練習では演奏が安定しない理由[メトロノーム]
日ごろ、ドラムを演奏する上で必須とも言われるのがクリック練習です。今ではスマートフォンでも手軽にメトロノームのアプリをダウンロードできるようになったと言えます。そのため、ドラムの練習方法に関する情報を集める中で、クリック練習に関する基礎練習の記事を目にする機会も多いと思います。当然、人間のリズム感は機械やリズムマシーンのような精密な一定間隔とは違い、多少の揺らぎがあるため、完璧なものではありません。そのため、クリック(メトロノーム)を使った練習を一切せず、自分のリズム感だけを頼りに演奏していると、どうしてもテンポがずれてしまいます。一方、ただ漠然とクリック(メトロノーム)に合わせて叩くだけの練習は本当にリズムを安定させる上で役に立つのでしょうか。ここでは、がむしゃらにクリック練習を行う方法ではほとんど効果やメリットが得られず、演奏が安定しない理由を考えてみました。
クリックに合わせる事そのものが練習の目的になってしまっている
本来、クリック練習の目的は「リズムの感覚を養う」のが目的です。もともと、人間のリズム感は完璧ではないので、そのリズム感を音楽用に鍛える必要があります。そのために、メトロノームを用いて正確な一定間隔のクリック音を鳴らし続け、それをガイドに自分の心の中でリズムを産み出し、その中で楽器を練習することで音楽的なリズムの感覚が養われるものだと考えられます。つまり、人間が自力でテンポを正しくとることは難しいために、メトロノームの力を借りてテンポの感覚を養うということです。
このとき、単にクリックに合わせて演奏するだけになってしまうと、自らリズムを作り出す事を怠ることになり、一向にリズム感が養われません。基本的に、バンドの練習やセッションの場にはクリックはありませんので自分の体内のテンポの感覚を頼りに演奏するしかありません。そのため、クリックの音がある時はテンポキープが出来ても、無くなった途端に安定感が失われてしまうようではアンサンブルの場で本領を発揮できず、元も子もありません。
なお、近年では、クリックを拍の表ではなく裏で鳴らす練習方法や、クリックを鳴らす周期を減らす練習方法、そしてクリックを鳴らしたり消したりを一定の周期で繰り返す練習方法など、さまざまなクリック練習の方法が多くの場所で紹介されております。しかし、どのような形でクリック練習を行うにしても自らリズムを産み出す意識を持たないと、演奏が不安定のままになってしまい、練習の効果は表れません。
毎日なんとなくクリック練習するだけになってしまっている
「何となく毎日クリック練習する人が多いから」とか「毎日クリック練習をすると上手くなるって周りの人が言うから」などの理由で日々ぼんやりとメトロノームに合わせてドラムの練習を行っていても、自分の中からテンポを生み出す感覚が養われず、ほとんど効果は期待出来ません。特に、毎日ドラムを叩く時間があまり確保出来ない方にとっては日々の練習時間は貴重な時間ですから、がむしゃらにクリック練習をする方法をとるのはメリットを得られにくいため、一旦、練習方法を見直した方が良いと考えられます。
近年、クリックを拍の表ではなく裏で鳴らしたり、もしくはクリックを鳴らす周期を減らす(またはクリックを鳴らしたり消したりを一定の周期で繰り返す)など様々な鳴らし方での練習も数多くの場所で紹介されております。このような場合も同様に、毎日なんとなく取り組んでるだけでは、なかなかテンポを安定させる効果は期待出来ないと考えられます。
自らリズムを産み出す意識が持てると…
以下の動画を眺めてみると、2分22秒以降にTony Royster Jr. がメトロノームの音を聴きつつドラムを叩いている風景が映し出されていますが、耳を傾けてみると、演奏中にリズムの勢いが止まること無く常に前に進み続けているのが分かります。ここで、常にメトロノームのカウント音が存在する中でもドラムの1打1打の音が辺り一面に流れるように鳴り渡り、自然なリズムが生まれているのはTony Royster Jr. が演奏中にメトロノームの音をガイドにしながらも自らの体内で一定のリズムを生み出し続けている結果であると考えられます。
最近はスマートフォンでも簡単にメトロノームのアプリをダウンロードすることが出来ます。まずは、クリック練習の際に、クリック音と自分の演奏とのタイミングがズレても惑わされず、自分なりにリズムを感じ続ける事がコツと言えるでしょう。また、このクリック練習は、スネア単体や練習パッドで行う基礎打ちだけでなく、ドラムセットでのリズムパターンやフィルイン、ソロなど様々なスタイルで行う事で、より確実なリズム/テンポの感覚を養う訓練になるものと見込まれます。このことはドラムに限らず、ギターやベースなど、他の楽器におけるクリック練習のコツにも当てはまると思います。常に演奏者が一定のリズムを自分の心の中で刻み、より良い演奏を心がける事で、心地よいグルーヴが産み出され、快適なアンサンブルが生まれるものであると考えられます。